2016年6月30日木曜日

バラシロエダシャク?

写真から蛾を同定するのは難しい。知らない種類が多いうえに、小さい種が多く、模様がなかなか鮮明に映らないからだ。もっとも頼りになるのは「かたち」だ。多少ぼけた写真でも、かたちならはっきり写るし、近縁種なら、模様は千差万別でも、かたちはほとんど変わらない事が多い。そこで、蛾の同定では、「一目見て似たようなかたちの種を思いつけるか」どうかがカギになる(上級者にはもっと別なコツがあるのかもしれないが)。ひとたび類縁種に当たりをつけたら、あとは「みんなで作る日本産蛾類図鑑」のサムネイル一覧などを使って近縁種を虱潰しに調べていく。

今回同定に苦労したのは次の写真だ。



今回も、かたちから一目でエダシャクの仲間であることは見当がついた。しかしその先が難しい。全身白に、ぼんやりとした模様の入ったエダシャクが何種類もいるし、それぞれの種の異なる写真を見くらべると、どうもかなりの個体差があるようだ(工業暗化のことを思い出せば当然だ)。 この写真も、「みんなで作る」に記載されている限りではバラシロエダシャク Lomographa temerataにも見えるが、それにしては白いし、ナミスジシロエダシャク Orthocabera tinagmaria tinagmariaにも見えるが、それにしては黒い点が多いし、頭や背中が黄色くない。どちらの種も、個体差があるだろうからと思い、Google画像検索もしてみたが、上の個体のように翅の縁が「…」模様になっているものは見当たらない。インスタグラムでは仮にバラシロエダシャクということにしてしまったが、真相やいかに。

※追記 (16/07/01)
どうやらナミスジチビエダシャク Scopula presonata らしい。最初のエダシャク亜科という見立てが間違っていたようだ。

2016年6月19日日曜日

『蛾売りおじさんの本棚』を見てきた

池袋ジュンク堂で開催中の『蛾売りおじさんの本棚』なる展示を見てきた。
蛾をモチーフにした刺繍や絵などを制作されている蛾売りおじさんという方の作品の展示販売とあわせて、おすすめの蛾の本の紹介がされていた(ブログ)。「蛾の本」なんてそんなにあるものだろうか、とも思ったが、養蚕をテーマにした子供向けの科学絵本系は結構あるようだ。ちなみに『本棚』には多分入っていなかったが、『イモムシハンドブック』というのがかなり売れているようで、目立つところにおいてあった(現在3巻まで刊行されており、第1巻は第10刷だった)。
会期は6月30日まで。







2016年6月12日日曜日

ヒカゲチョウ

ヒカゲチョウ Lethe sicelis
16.06.12, 東京都調布市
その名の通りタテハチョウ科の蝶だが、「色が地味」「目玉模様」「日陰にいる」「バタバタ飛ぶ」「翅を開いてとまる」といわゆる"蛾"のイメージにぴったり合致しているせいで、(イチモンジセセリ等と並んで)よく蛾に間違えられている(と思う)。こちら側からだと目玉模様はほぼ見えないが、背中がおそらく構造色で虹色に見え、美しい。

2016年6月11日土曜日

ここ2週間の蛾

すっかり気温も夏めき、見られる蛾の種類も徐々に豊富になってきた。
ここ2週間で出会った蛾を紹介する。

ミダレカクモンハマキ Archips fuscocupreanus
16.06.01, 東京都目黒区
このあいだ幼虫を紹介したが、ついに成虫を見ることができた。
体長20mmにも満たない小さく目立たない蛾だが、こういうものもきちんと名前が与えられ分類がされているという事実を改めて考えると、ほとんどめまいのする思いがする。


カノコガ Amata fortunei
16.06.03, 東京都調布市
昼行性の蛾。羽の鹿の子模様は半透明。
ウィキペディアによればフタオビドロバチに擬態(ベイツ型擬態)しているとされる、ということだが、それほど似ているようにも見えないのだがいかがだろうか。ある生きものが実際に別の生き物に擬態している、ということを説得力を持って示すのは、なかなか難しいようにも思われる。



ウメエダシャク Cystidia couaggaria
16.06.06, 東京都調布市
毎年この時期になると、梅のある果樹園の下生えをたくさんのウメエダシャクが独特のヒラヒラとした飛び方で飛んでいるのが見受けられる。クロマダラエダシャク、トンボエダシャク、ヒロオビトンボエダシャクなど、形・模様ともに似通った近縁種が多いが、ウメエダシャクは翅の端の模様が櫛状になっているのが特徴とのこと(1枚目の写真の個体ではやや不鮮明)。模様についててはカノコガにも似ているように見えるが、この辺も擬態という観点から考えていくと面白いかもしれない。ちなみに今週号のNatureに蛾の擬態と工業暗化に関与する遺伝子についての論文が1本ずつ掲載されていたので、そのうち読んでレビューを掲載しようと思う。





2016年6月5日日曜日

ホタルガ

新宿駅の南口がNYのハイラインみたいになっていた。
その奥の方で洋書のみを残して紀伊国屋が閉店するらしい。