今年3月をもって都心にあって新種のカメムシが見つかるほど森深い東大駒場キャンパスを離れてしまったため、なかなか新たな蛾に出会う機会がなく、すっかり更新が滞っていましたが(というのを毎ポスト書いていますが)、ここらでここ3ヶ月で出会った蛾・蝶たちをサクサクまとめて紹介しておこうと思います。
シャクガの一種?
2017.05.06 兵庫県多可町
網戸に飛来。やっぱり田舎は虫が多い。
ヨモギエダシャク?
Ascotis selenaria
2017.05.14 東京都調布市
自宅ベランダのオリーブの鉢植えに突如出現していた、5cm以上ある大型のシャクガの幼虫。オリーブのような硬い葉でもちゃんと食べられるのだろうか。1週間ほど毎日動きを見守ったが、その後忽然と姿を消してしまった。鳥に食べられたのか、潜って蛹になったのか?
アカボシゴマダラ
Hestina assimilis
2017.05.20, 2017.07.16 埼玉県和光市, 東京都江東区
この蝶がいるということにそもそも数年前は気づいていなかったほどなのに、今ではごくごく普通に見られる蝶になった。アゲハチョウ類と比べるとなんとなく鈍いというか、抜けている感じで、人が近づいてもほとんど逃げず、こんな風に手にも乗ってくる 。特に涼しい日は止まっていることが多いので、南方系と言うだけあって低温には弱いのかもしれない。
ちなみに2つめのInstagram投稿の2枚目はアカボシゴマダラと同じくお台場海浜公園で見つけたシモフリスズメ(
Psilogramma incretum)と思われる。
アゲハチョウ
Papilio xuthus
2017.07.08 東京都調布市
何もない壁面を登攀中のところを発見。なんとなく貫禄がある。
ドクガの一種?
2017.07.22 東京都目黒区
駒場キャンパスに立ち寄った際に発見。頭の前方に突き出た毛むくじゃらの部分は脚か?チャドクガなどよりは一回り大きかったが、同定は断念。この運動場の防護ネットは昆虫が多く飛来することで大学院生の間で話題で、とある先輩にいたってはウスバカミキリまで発見したということ。
以下、スズメガ3連発。
コスズメ Theretra japonica
2017.06.22 東京都調布市
セスジスズメ
Theretra oldenlandiae
2017.07.19 埼玉県和光市
トビイロスズメ
Clanis bilineata
2017.07.24 東京都調布市
さて、最後になりましたが、明日より日本を離れ米Yale大学で博士号取得を目指して研究を行うことになりました。これからはMothpeopleを「北米のホットな蛾情報がリアルタイムで日本語で読める唯一のブログ」として益々発展させていこうと思います。
ちなみに研究分野としては(これまでの実験心理学からシフトして)ショウジョウバエを用いた知覚の神経回路機構の研究を行う予定です。ちなみに撮影地として頻発している「埼玉県和光市」の某研究所でも、同様の研究のお手伝いをさせていただいていました。小学校の卒業アルバムなんかには、海野和男さんとか栗林慧さんとかの本を読んで憧れて、「昆虫写真家になりたい」なんてことを書いていましたが、巡り巡ってハエ脳のライブイメージングなどをやっていたので、数奇なものだと思います(もちろん、それだけが動機ではないですが)。神経科学、とくにシステム論的観点からの研究では、蛾、特にスズメガやカイコ等はよく使われるモデル生物ですので、今後は論文紹介等も増やしていければと思っています。いわゆる「虫屋」的・博物学的観点だけでなく、科学的、あるいは文化的など、多角的な観点からの蛾情報を発信していく所存です(依然執筆者も募集中です)。
▲自宅玄関にて、捕獲したトビイロスズメと。